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ファクタリングを装ったヤミ金が増加中?SNSを使用した個人間融資に注意!

ファクタリングは、信用力の低い中小零細企業にとっては数少ない資金調達手段の1つです。その中小零細企業を狙う、ファクタリングを装ったヤミ金が増加していますし、SNSを通じた個人間融資を装ったヤミ金被害も広がっています。

こうした弱みに付け込み、お金を奪い取ろうとする卑劣な詐欺商法に怒りを覚える方は多いでしょう。ファクタリングなどを装ったヤミ金被害にあわないように、自衛手段を講じなければ被害が広がる一方です。

そこでこの記事では、ファクタリングや個人間融資の概要、ファクタリング及び個人間融資とヤミ金の関係などについて紹介します。

ファクタリングとは

ファクタリングとは

ファクタリングとは、企業から売掛債権(入金待ちの請求書)を買い取り、決済日より早く現金を受け取るサービスのことを指します。資金繰りが厳しく、決済日まで入金が待てない企業にとっては有効なサービスです。

ファクタリングが普及した背景

日本の場合、ファクタリングが普及する前は手形での掛取引が非常に長い間スタンダードなスタイルでした。
手形が衰退し、ファクタリングが普及した背景として以下の3つ理由が挙げられます。

コストがかかる

手形を発行するには、手形用紙を銀行から購入した上で、手形印紙代を銀行へ支払わなければなりません。さらに換金する際にも手数料を取られます。

流動性に欠ける

手形は裏書すれば取引先へ譲渡することができますが、額面(金額)を変更することができないので取引先にとっては少し不便に感じます。また手形は用紙なので、しっかりと管理しておかないと常に紛失・盗難のリスクがあったり、不渡りが発生し、資金回収が難しくなったりすることも手形が衰退した要因です。

法整備された

1998年10月に債権譲渡特例法が施行され、債権譲渡登記制度が定められました。
これによって国がファクタリング普及を後押しし、2005年には債権譲渡登記制度が改正され、これまでよりスムーズに手続きできるように整備されました。

法整備されたことによって債権の二重譲渡トラブルが激減し、債権譲渡しやすい環境になったこともファクタリングが普及した要因です。

ファクタリングのメリット

ファクタリングには、以下のようなメリットがあります。

融資審査が易しい

ファクタリングの審査基準は取引先の信用がどれぐらいあるのかによるので、銀行から融資をうける場合と比べると資金調達の難度が大幅に下がります。

現金化が最短で即日

現金化するまでの時間が最短で当日というファクタリング会社が多く見受けられます。銀行融資の場合、最短でも2週間ほどかかることから早く現金が欲しい場合に有効です。

無担保で利用できる

保証人を必要とせず、無担保で利用できます。

信用情報に悪い影響を及ぼさない

銀行融資やカードローンは信用情報機関に必ず履歴が残りますが、ファクタリングは残りません。そのため将来銀行からの融資を検討している場合、銀行側にファクタリング利用したという事実が伝わらないのはメリットになります。

ファクタリングはどのような状況の時に行うものなのか?

開業して日が浅い時の資金調達にファクタリングは適しています。業種によって、支払いサイト(期間)が長い業種もあるために運転資金が持たない場合が少なくないからです。

融資審査が通らなかった場合もファクタリングを行うべきタイミングです。
他の融資(ビジネスローンなど)を利用することは可能ですが、信用情報機関に履歴が残り、再度銀行融資をうけたい時の審査に影響が及びます。その点ファクタリングは、信用情報機関に履歴が残らないため安心です。

ファクタリングの利用が適している企業とは

ファクタリングを利用した方がいい企業は、以下のようなところが該当します。

銀行融資審査が通らない

銀行融資が通らなくても、ファクタリングであれば基本的に銀行よりも融資審査が易しいため、融資審査が通る可能性が高くなりますし、取引先がファクタリングの利用に難色を示している、取引先に知られずにファクタリングを行いたい、というような場合でも、2社間ファクタリングという方法なら取引先からの信用を失うことなく資金調達ができます。

資金繰りが悪化し、できるだけ早く資金調達する必要がある

ファクタリングは、最短即日で現金化できる業者が多くなっています。ただ即日現金化ができるのは、2社間ファクタリングの場合に限られることが多いので注意しましょう。

資金繰りが悪化しているだけで、長期的に現金収支が安定する見込みがある

ファクタリングは即効性がある反面、手数料が高いというデメリットがあります。
一時的な利用であれば問題ありませんが、複数回利用すると手数料分が差し引かれて、本来受け取れる金額が大きく目減りしてします。

そのため、その場をしのげば軌道に乗るといったような、将来的にはファクタリングを利用しなくても収支が安定する場合に限って利用するようにしましょう。

バランスシートから資産を切り離し、オフバランス化したい

債権や株といった金融資産はバランスシートでは資産に該当します。一方銀行からの借り入れや支払手形は、バランスシートでは負債に該当します。
ファクタリングは負債を負うことではないので、オフバランス(バランスシートから切り離すこと)できます。したがって、バランスシート上の負債部分が減るので経営状態を良く見せることができます。

このようにファクタリングを上手く利用することで評価を上げながら資金繰りすることできます。

個人間融資とは

個人間融資とは

個人間融資とは、銀行や消費者金融を間に入れずに、個人と個人が直接金銭の貸し借りを行うことを指します。

個人間融資の違法性について

個人間融資は、貸金業法に違反する可能性があります。貸金業に該当する行為かどうかを見分けるポイントは以下のとおりです。

  • 貸付によって利益を得ている
  • 多くの人間に貸付を行っている
  • 繰り返し貸付を行っている

無許可で上記に該当する行為を行っている場合は、貸金業法に違反している可能性が高くなります。
実際には違法かどうか見極めるのは困難ですが、限りなく違法に近い可能性があるため基本的には違法と考えて対処したほうがいいでしょう。

個人間融資はSNSで募集されているの?

個人間融資は一般的に、SNSや掲示板で募集されています。SNSの場合は、#(ハッシュタグ)を付け「#個人間融資」、「#個人融資」などといった形で貸主や借主を募集しています。

掲示板の場合は、個人間融資専用の掲示板の投稿フォームに必要事項を記載し投稿します。その投稿を見た貸し出しを希望する第三者が現れ条件が合えば取引が成立します。

個人間融資とヤミ金の親和性について

SNSや掲示板といった匿名性の高いプラットフォームを利用することで、違法性がばれても足が付きにくい環境であることからヤミ金業者が暗躍しやすい状況になっています。個人間融資の場合、個人情報を提供する借り手が圧倒的に不利な状況に追い込まれます。

想定されるトラブルとして、個人情報だけ抜き取られてそれを元に脅される、または個人情報を売られるといったことが考えられます。
その他、返済する能力があるのかを調べるという口実で、貸し付けを行う前に手数料を振込させてそのまま音信不通になるといったケースもありますし、銀行口座や携帯番号まで情報を提供してしまった場合、その銀行口座や携帯番号が犯罪に利用される可能性もあります。

個人間融資に頼るメリットはあるのか

お金を借りることができれば一時的にはメリットがあるように思えます。
しかしこれまで説明したように、デメリットの方がはるかに大きいため長期的にはメリットがあると言えません。

個人間融資とファクタリングがなぜつながるのか

個人間融資とファクタリングがなぜつながるのか

ファクタリングは企業間の取引であるというイメージをお持ちの方が多いと思いますが、実は、個人でも「給与ファクタリング」という方法で給与債権を売却することでファクタリングを行うことが可能です。

給与ファクタリングの特徴として、自分の信用情報が多重債務や返済遅延を起こしている状況、いわゆるブラックの状態でも行えることが挙げられます。

先述したとおり、個人間融資はヤミ金業者が暗躍している可能性が高くなっています。
個人を装ったヤミ金業者が多重債務者などに給与ファクタリングを持ち掛け、給与債権を買い取る際に法外な手数料を抜き取って差額を利用者に渡します。

金利に換算すると通常の金融機関では考えられないほどの法外な手数料を取られてしまった挙句、匿名性の高い環境の中で行われる取引であることから、相手を特定することができずに泣き寝入りしてしまうケースが少なくありません。

ファクタリングという名目でヤミ金につかまると

ファクタリングという名目でヤミ金につかまると

SNSや個人間融資掲示板などを通じてヤミ金につかまるとどうなるか、事例をいくつか紹介します。

法定利息の50倍の利息を脅し取られる

2017年1月に東洋商事とMINORIが貸金業法で違反と出資法違反の疑いで元経営者を含む8名が逮捕されました。ファクタリング会社を装ったヤミ金の全国初の逮捕事例です。法定利息の50倍にもなる「手数料」を利用者から脅し取っていたということが逮捕の大きな理由となっています。

法定利息の40倍~48倍相当の利息を取られる

2017年5月に城南ファンディング元経営者がファクタリング会社を装ったヤミ金運営で逮捕されました。その後無届による貸金業法違反と出資法違反の疑いで再逮捕されています。ファクタリングを装っていても中身は貸付に近い内容だったようで、法定利息の40~48倍相当の「手数料」を取っていたとのことです。

上記のヤミ金業者の言い逃れは、どれも「ファクタリングは貸付行為ではない」というものでした。確かにファクタリングは貸付行為ではありません。ファクタリングそのものは違法ではありませんが、信用情報がブラックでも利用できるところがこういったヤミ金業者が横行する要因の1つになっています。

このように、安易にSNS上の個人間融資に頼るのは大変危険です。
契約内容をよく確認しなかったがために、ファクタリングを隠れ蓑にした違法貸付で、法外な利息を脅し取られてしまったケースが頻発しています。

SNS上での個人間融資には頼らないようにしましょう。

まとめ

個人間融資とヤミ金の関係

ファクタリングと個人間融資の概要、ファクタリング及び個人間融資とヤミ金の関係について説明しました。

ヤミ金業者はどこででも暗躍しており、ちょっとしたきっかけで被害にあう可能性があります。SNSは便利ですが、便利な反面信頼性は担保されていません。信頼できるかどうか判断するのが非常に難しい状況になっていると言えます。

しかしながら、事前にこのような情報を頭の片隅に入れておくことで、日々の情報から気付きを得られます。ある程度、自身で信頼性が担保できるどうか判断する基準を持つことが、今後重要になってくるでしょう。