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ファクタリングを開業したい!開業までの流れと法令を解説

これからビジネスを始めようとする人で、中小企業の資金繰りをより楽にしたい、中小零細企業の力になりたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

経営の中で、資金繰りは大きな問題です。資金繰りがうまく行かずに倒産してしまう企業を救うために、ファクタリング事業を始めようと考えている方もいらっしゃるでしょう。

そこで、本記事ではファクタリングの開業方法について解説を行います。
ファクタリングを主業とする法人を設立するにあたって、知っておかなければならない関係法令などについて、確認していきましょう。

ファクタリング開業までの準備

ファクタリング開業までの準備

ファクタリング業を開業するにあたって、重要になってくるのは開業資金です。

そこでまずは開業資金に関して、どのくらい必要なのか解説します。

開業資金はどのくらい必要なのか?

ファクタリングの開業資金は、ファクタリング業が債権を購入するビジネスであるため、手持ち金額が多ければ多いいほど円滑にビジネスを行うことができます。

ファクタリングでは大きな金額の売掛債権を取り扱うこともあります。
しかし、中小企業では200万円~300万円といった金額で債権がやり取りされることもありますので、必ずしも高額の元手が必要となるわけではありません。
大まかな目安として、債権を買い取るための資金としては500万円~1,000万円程度を用意しておけばスタートを切ることは可能でしょう。

ただし後述するように貸金業登録を行ってファクタリングを開業する場合は、5,000万円の純資産を保有することが貸金業登録の条件になっていますので、大きな元手が必要になってきます。

ファクタリング業に免許は不要?

ファクタリング業に免許は不要?

この記事を読んでいる方の中には、ファクタリングは貸金にあたるのではないかと考えた人もいるのではないでしょうか。

ファクタリング業は貸金業にあたるのか、またファクタリング業に免許は必要なのか、詳しく見ていきます。

ファクタリングは貸金業ではない?

結論から言うと、ファクタリングは貸金に相当しないため、貸金業法の適用範囲外となります。

これは、ファクタリングという仕組みが売掛債権の譲渡契約にあたるため、貸金業法には抵触しないからです。
このことから、ファクタリング業を行うために特に許認可や免許などは必要ではないということも押さえておきましょう。

貸金業登録はしておいた方が良い?

ファクタリング会社を装い資金調達で困っている経営者を騙し、高額な手数料を騙し取るという悪徳業者が横行しています。
そういった悪徳業者などではないということをアピールするために、貸金業登録を行っている会社は数多くあります。

貸金業登録は非常に煩雑な手続きを伴ううえ、違法性の有無の調査など時間もかかります。
そんなに大変なら、貸金業登録しないでもファクタリング会社を興せるなら登録しなくてもいいじゃないか、と思われるかもしれません。

しかしながら、貸金業登録は都道府県や財務局の認可制になっており、登録が認可された業者は、認可された証拠である登録番号の掲げることができ、会社の信頼性を大きくアップさせることができます。

貸金業登録ができる場所

貸金業登録は営業所または事業所のすべてが一つの都道府県にある場合は、都道府県にて登録、二つ以上の都道府県区域にある場合は、財務局の登録となります。

3.貸金業免許を得るためにはどんな手続きが必要?

上記で解説した通り、利用者が安心して取引を行うには、貸金業免許があった方がいいということはご理解いただけたのではないでしょうか。

ここからは、貸金業免許を取得する方法について解説していきます。

貸金業免許を得るために必要な条件は?

貸金業を行うためにはまず「貸金業務取扱主任者」という資格を取得する必要があります。
これは国家資格で、貸金業務に従事する者の中で50人に1人以上配置することが義務付けられていますし、貸金業者の事業所や営業所には必ず配置することが求められます。

この貸金業務取扱主任者の資格を取得する受験資格に制限はありません。
試験時間は2時間、問題数は50問、解答方式はマークシート方式で、全国17地域で受験することが可能です。また受験手数料は政令で定められており、8,500円となっています。

さらに貸金業を営むには、貸金業務取扱主任者の登録が必須であると貸金業法第3条で決められています。
この登録には、法令で定められた申請書をもって申請手続きをする必要があります。

なお登録期間は3年と定められていますが、登録有効期間満了の5か月前から2か月前までに更新手続きを行う必要があります。

貸金業務取扱主任者の登録が認められないケース

貸金業務取扱主任者の登録ができない人については、貸金業法第6条第1項に記載があります。

例えば、成年被後見人や破産者の他、暴力団員等、または暴力団員等がその事業活動を支配している事業に勤務している人は登録を行うことができません。

これはあくまで一例にすぎませんが、一般的に取引を中断することになる重大な要因がある場合は、登録が認められないと考えておくとよいでしょう。

貸金業登録をするための資金的な条件は?

貸金業登録を行ううえで最も重要なのは、純資産が5,000万円以上なければ登録ができないということです。
例えば、個人で新規参入や貸金業として開業される人でも、貸金業登録を行うためには5,000万円という金額が必須になってきます。

貸金業登録をしたうえで開業する場合、純資産の5,000万円プラス登録申請の15万円、その他事業所の家賃・水道光熱費などの諸費用も合わせた資本を用意する必要があります。

この他、法人登記にも費用が発生しますので、新規参入にはかなり高い障壁があります。

貸金業免許の審査はどのくらいかかる?

東京都の場合、登録申請から開業までには概ね2ヶ月間かかるようです。

しかしながら申請内容によってはさらに時間がかかる場合があります。書類の不備や、身分照会・現地確認などで何らかの問題が発生した場合は、2ヶ月以上の期間が必要になります。

登録申請には手数料の支払い及び申請書等の提出が義務付けられています。
申請手数料は新規・更新にかかわらず、現金で15万円が必要です。この手数料は登録不可や、登録申請を取り下げた場合でも、返却されることはありません。

申請書の提出部数は正本が1部、副本が2部必要です。
申請書は記入した後、日本貸金業協会東京支部に提出します。なお本人確認のため、窓口で運転免許証やパスポート等の提示を求められます。

この申請書には、広告勧誘等で表示をする固定電話番号や FAX 番号、フリーダイヤルやホームページアドレス、電子メールのメールアドレスなども記入しなければなりません。

ファクタリング開業までの流れ

ファクタリング開業までの流れ

最後にファクタリング会社を新規で開業する場合、どのような流れとなるのかについて解説していきます。

  1. 貸金業免許の審査を待つ

    貸金業登録を行って開業する場合、まずは登録申請を行ったうえで審査結果を待ちます。
    結果が出るまでに約2ヶ月かかるため、それまでに他の開業準備をしておきましょう。

  2. 事業所を構える

    実際にファクタリング業を行うには、営業できるスペースが必要です。

    貸金業登録を行うと、事業所を構えているかどうか必ずチェックされます。
    これは登録申請を認可するかどうかを判断する作業の中に、「現地調査」という監督官庁の職員が実際に立ち入り、営業所の実態があるかどうかや、他の法人と同居していないか、申請書に記載された内容に誤りがないか、ということを確認する作業があるためです。

    あわせて必要になってくるのが、各営業所への固定電話の設置です。
    これも登録申請書に記載の必要があり、現地調査で申請の電話番号に誤りがないか、実際に電話をかけて調査されます。

    また営業所が賃借されている場合、貸金業の営業所としての使用を許可する旨の承諾を取る必要があります。
    賃貸借の契約期間が「2年以上」となっていることも要件になっていますので、この点も注意しておきましょう。

    なお、貸金業登録が完了した後のこととなりますが、貸金業法では、貸金業者に対して、公衆の見やすい位置に登録票を掲示することを義務付けています。
    この登録票とは登録番号及び有効期限が書かれているものです。忘れずに掲示してください。

  3. 集客を行い、営業を開始する

    事業所を構えてファクタリング業を始めたとしても、集客がままならなければせっかく貸金業登録をしたとしても経営が続いていきません。
    そこで広告などを利用し、積極的に集客したいとお考えになる方もいるでしょう。

    貸金業法では特に広告について定められているわけではありませんが、日本貸金業協会では「広告審査に係る審査基準」というものを発表しています。
    誇大広告の禁止や借入が容易であることを過度に強調することにより、借入意欲をそそるような表示・説明は禁止されているため、注意が必要です。

    新聞・雑誌・電話帳・テレビ CMといった広告媒体に出稿する際、この審査基準に沿っているか、日本貸金業協会が審査します。
    仮に、審査基準に定められていない広告媒体に出稿するとしても、この内容は遵守していきたい内容です。

    審査基準については日本貸金業協会の Web ページで確認することができるので必ずチェックしましょう。

    ファクタリングは売掛債権の譲渡契約となるため、金利といった考え方はありません。
    しかしながら、利用するユーザーは手数料などを勘案する際に、金利相当分として計算することがあります。

    法定の上限金利を大きく上回っているような場合は、ファクタリング以外の選択肢を検討されてしまいます。高すぎる手数料を設定することなく、利用者側に寄り添った経営が必要になってくるでしょう。

広告審査に係る審査基準

https://www.j-fsa.or.jp/association/regulation/examination.php

まとめ

ここまで、ファクタリング会社の開業方法や、ファクタリングの仕組みについて解説してきました。

ファクタリングは、中小企業の資金繰りを改善するサービスであり、中小企業を救うことにもなる事業です。

貸金業登録をする場合は、純資産が5,000万円以上の非常に高額の資金が必要となってきます。
しかし、貸金業免許取得できれば、より信頼感のあるサービスを提供することで登録をしていない他の事業者と差をつけることができます。

中小零細企業などファクタリングを利用する側の立場になって考えることが、ファクタリング事業成功のカギです。