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電子記録債権とファクタリングは、どう違う?

電子記録債権は、みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行など、大手金融機関が次々と採用している電子決済サービスです。
2013年に「でんさいネット」が登場して以降、企業間での利用が拡大している電子記録債権ですが、ファクタリングとはどのような違いや関わりがあるのでしょうか?
混同されやすいこの2つについて、違いやメリット・デメリットを比較していきます。

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電子記録債権って何?

電子記録債権とは何を意味しているのかというと、これまでの手形や売掛債権の問題点を解決した、新しい債権の形式のことです。
手形や売掛金の譲渡通知など、紙で交付されていた債権の証明書類を電子記録化し、「でんさいネット」と呼ばれるネットワークで管理しています。
でんさいネットは、ネットワークに参加している全ての金融機関で利用できます。

手形における電子記録債権のメリット

  • 手形の作成や交付、管理にかかるコストが不要
  • 電子データなので、紙の手形のように紛失や盗難の恐れがない

売掛債権における電子記録債権のメリット

  • 電子記録で債権の存在や帰属が確認できるため、債権二重譲渡の恐れがない
  • でんさいネットで債権の記録が確認できるため、債権譲渡通知をする必要がない

電子記録債権は、手形・売掛債権を単純に電子化したものではなく、取引の安全性・確実性や利便性が大きく高められた債権なのです。
既存の銀行決済システムを利用するので、資金調達における信頼性も高いです。
でんさいネットに参加している銀行であれば、銀行の窓口を介して気軽にサービスを利用することができます。

電子記録債権は、ファクタリングと同様に、債権の譲渡が可能です。
譲渡の通知から譲渡記録まで、でんさいネットにおいて安全・確実に行われます。

でんさいネットにおける取引の流れ

でんさいネットのシステムでは、売掛金の発生から支払いまでどのように処理されるのか、その仕組みについて説明します。
支払企業(メーカー)A社に対して、納入企業(下請け企業)B社に10万円の売掛債権が発生したと想定します。
B社は孫請け企業であるC社への支払いを行うため、売掛債権をC社に譲渡したいとしましょう。
この場合、会計処理も含めた取引の流れは、以下のようになります。

でんさいネットにおける取引の流れ
請求 ①A社またはB社が、窓口金融機関を通じ、でんさいネットに対して売掛金・買掛金の発生記録請求を行います。
ここでは、A社が請求を行ったとします。
通知 ②でんさいネットから、窓口金融機関を通じ、B社に対して発生記録の通知が行われます。
売掛債権発生 ③B社に売掛債権が発生し、会計処理においては借方に「売掛金・電子記録債権(100,000円)」として仕訳されます。
A社では、貸方に「買掛金・電子記録債務(100,000円)」として仕訳されます。
譲渡記録公開 ④B社がC社への債権譲渡のため、金融機関窓口を通じ、でんさいネットに対して譲渡記録請求を行います。
譲渡記録は、でんさいネットを通じてA社・C社に開示されます。
売掛金 ⑤支払期日が来たら、A社の口座から、直接C社の口座へと売掛金が自動送金されます。

電子記録債権は、分割して譲渡することも出来ます。
このような柔軟性の高さも、紙の手形には無かったメリットです。
ただし、手形の欠点のひとつである不渡りリスクは、そのまま残っています。

ファクタリングとの違いって?

ファクタリングとの違いって?

ファクタリングとは、資金調達の手法そのものを指しますが、電子記録債権及び「でんさいネット」は、資金調達を円滑にするための制度・システムです。
なので、ファクタリングと電子記録債権を同じ俎上に載せて比較することはできません。

そこで、でんさいネットを利用した一般的な手形割引とファクタリングには、どのような違いがあるのかを、比較してみましょう。
どちらも、手形や売掛金の支払期限前に、資金調達ができる点では共通しています。
そこが、電子記録債権とファクタリングが混同されやすい理由といえるでしょう。
しかし、両者は2つの点で、大きく異なっています。

貸し倒れのリスクがあるか、無いか

電子記録債権 ファクタリング
債務者が支払い不能になった場合、代わりに元の債権者が支払いを行う
不渡りリスクあり
償還請求権がなく、全てがファクタリング業者に帰属
不渡りリスクなし

電子記録債権を介しての手形割引では、元の債権者が保証人になる必要があります。
つまり、債権を譲渡した後、万が一債務者が支払い不能になった場合、代わりに元の債権者が支払いを行わなければならないのです。
債権を回収できないリスクに対処するため、電子記録債権の会計では貸倒引当金(損失に備えるお金)を計上します。

ファクタリングでは、貸し倒れになったとしても、そのリスクはファクタリング業者が負います。
でんさいネットでは、元の債権者が保証人になることで銀行からの貸付金を受け取るというシステムなので、手形割引と同じく不渡りリスクがあります。

一方で、ファクタリングでは債権の買取りという形式になっています。
償還請求権(債権の不渡り時、ファクタリング会社が債権者に入金を請求する権利)が無く、債権の不渡りリスクも含め、全てが業者に帰属します。
よって、売掛金の回収に関して元の債権者が一切関知することはありません。

契約締結の利便性が高いか、否か

電子記録債権 ファクタリング
でんさいネットで利用できる金融機関の口座を持っている企業間であればスムーズに手続きがでる。
新しい企業との取引が増えても、共通のシステムを利用して負担が軽減される。
新しい企業と取引を始める度に、一から契約を締結する。
業者ごとに手続きの形式も異なるため、信頼できる一つの業者と長く契約して負担を減らす。

でんさいネットでは、加盟している金融機関の口座を持っている企業間であれば、統一された書式でスムーズに手続きができます。
でんさいネットで利用できる1,300以上の金融機関のうち、いずれか一つでも口座を開設済みであれば、新たに口座を作る手間も必要ありません。
新しい企業との取引が増えても、共通のシステムを利用すればいいので、手続きの負担を軽くできます。

ファクタリングの場合、新しい企業と取引を始める度に、一から契約を締結しなければなりません。
業者ごとに手続きの形式も異なるため、できれば信頼できる一つの業者と長く契約することで、手続きにかかる負担を減らしていきたいところです。

以上の相違点から、電子記録債権はあくまで手続きを簡便化し、債権の帰属を確実に証明するための手段として活用できるのであり、手形割引の不渡りリスクはそのままです。
不渡りリスクが一切無いという点では、ファクタリングのほうがより安全です。

単発の資金調達には、ファクタリングがおすすめ!

電子記録債権及び「でんさいネット」は、統一されたシステムで手続きを円滑化するなど、メリットが大きいのは事実です。
しかし、ファクタリングや手形割引など、資金調達の手段として電子記録債権を導入するには、まだハードルが高いという現状があります。

電子記録債権は慣れるまでが大変!

まず、でんさいネットを利用するには、会計処理のやり方を大きく変更する必要があります。
従来のシステムに慣れている企業にとって、いきなり電子記録債権を導入すると、混乱やミスを招くリスクが高まります。

でんさいネットに係る会計システムや簿記のルールに慣れるまでは、会計処理にかける時間やミスが増えてしまった、という企業の報告も目立ちます。
このため、急いで資金調達をしたい場合、新たに電子記録債権を導入するのはリスクが大きく、不向きと言えます。

利用者間のでんさいネット参加が必須条件!

利用者間のでんさいネット参加が必須条件!

でんさいネットを通じた取引を行うには、相手企業もでんさいネットに参加している必要があります。
先述したように、でんさいネットは導入に時間がかかるため、まだ参加済みでない企業も少なくありません。
未参加の企業に対して、でんさいネットを通じた取引を依頼するなら、新たに取引用の口座を開設しなければならず、会計処理上も負担をかけてしまいます。

以上の点がでんさいネットのデメリットとなり、単発・緊急での資金調達を難しくしています。
なので、急いで資金調達したい場合は、即日で契約から現金化が完了するファクタリングが最適です。

ファクタリングは、対面や紙の書類による手続きが基本なので、電子記録債権の利便性には一歩譲ります。
しかし、ファクタリング業者のサポートの元で手続きを進めるため、初めての利用でもスムーズに現金化できるというメリットの方が大きいです。

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