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ここ数年間で急成長したフリマアプリ「メルカリ」は、どのような資金調達方法によって事業を発展させたのでしょうか。
メルカリの資金調達に関するニュースをまとめます。

メルカリの急成長を支えた資金調達の方法とは?

メルカリとはどんな会社・サービス?

メルカリは2013年にサービスを開始した、iPhone・Android両対応のフリマ(フリーマーケット)アプリです。
フリマアプリとは、オンライン上で個人が不要になった商品を自由に値段設定し、出品できるサービスです。
ネットオークションが競りで値段が上がっていくのに対し、フリマアプリは出品者の設定価格で即購入できる仕組みです。

アプリをリリースして約半年で100万ダウンロードに到達し、その後順調に利用者数が伸び続け、2016年時点では4,000万ダウンロードを超えています。
日本だけでなく、2014年にはアメリカ、2017年にはイギリスへも進出し、2,000万以上のダウンロードを獲得しています。

サービス開始当初は、20~30代の女性を中心に人気がありましたが、CM放映で認知度が大きく上昇し、現在では幅広い層に利用されています。
フリマアプリの中では利用者数トップを走り、ネットオークションのヤフオクや楽天オークションにも迫る勢いです。

アプリを運営している会社「株式会社メルカリ」は、設立当初は「株式会社コウゾウ」として誕生し、2017年11月に現在の称号に変更されました。
株式会社メルカリの会社概要は以下の通りです。

設立 2013年2月
資本金 約7,000万円(2018年6月時点)
所在地 東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー
代表者名 山田進太郎

メルカリは日本初のユニコーン企業(時価総額1,000億円以上の未上場企業)として注目されていましたが、ついに2018年6月、東証マザーズへの上場が決まりました。
上場によって事業に弾みがつくだけでなく、厳正なコンプライアンスの審査によって、ユーザー間のトラブルや不正への対応が強化されることが期待されます。

メルカリの資金調達方法とは?

メルカリの急成長を支えてきたのは、資金調達を実施する主体となる「ファイナンスグループ」の存在です。
構成メンバーは、執行役員をはじめ、インターネットや金融、リーガルなど各業界のプロフェッショナルを集めた計8名の少数精鋭です。

ファイナンスグループは、資金の配分や管理、投資家に対する事業計画の説明や関係の構築といった役割を担っています。
このような活動によって、事業の成長段階に応じた最適な資金調達方法の選択肢を広げていきます。
メルカリ設立当初の戦略はスタートアップならではのスピード重視で、それに応じた資金配分による積極的な事業展開が実施されてきました。

メルカリでは、ファイナンスグループを通じて総額80億円を超える大型資金調達に成功しています。
今後も、上場によって投資家やベンチャーキャピタルからの出資が増え、さらなる発展を遂げていくことでしょう。

メルカリが実施した資金調達方法のひとつに、「第三者割当増資(縁故募集)」というものがあります。
第三者割当増資とは、特定の第三者に発行した新株を引き受けてもらい、増資を行う方法です。
メルカリの新株の引受先には、経営陣に加え、以下の企業が名を連ねています。

  • グローバルプレイン
  • グロービスキャピタルパートナーズ
  • 日本政策投資銀行
  • 三井物産
  • GMOベンチャーパートナーズ
  • EastVentures
  • WiL(World Innovation Lab)

東証マザーズ上場においては、これまでで最大の資金調達額である544億円という規模に達しています。
2018年上半期におけるIPO企業の調達額834億円のうち、大部分をメルカリ1社が占めています。
前年同期のIPO調達額と比較しても2.5倍に跳ね上がっており、メルカリ上場の影響の大きさが伺われます。

メルカリは未上場の段階でも、フリマアプリ国内シェア1位を維持するには十分な利益を獲得していました。
2017年には、メルカリの牽引によって、国内フリマアプリの市場規模が前年比58%増と見込まれていたほどです。
それにも関わらず、上場によってこれだけの増資を必要としたのは、アメリカへの本格的な事業展開を狙っているからだと考えられます。

アメリカでは競合サービスとして「Letgo(レッツゴー)」や、「OfferUp(オファーアップ)」といった強力なライバルが存在しています。
これらの企業に日本が太刀打ちするには、数百億単位の思い切った増資によって一気に海外シェアを獲得するのが有効とされています。

さらにメルカリでは、「メルカリファンド」という出資プロジェクトを立ち上げ、CtoCプラットフォームの拡大にも挑戦しています。
CtoC(Consumer to Consumer)とは、オークションやフリーマーケットのような、個人間の取引を指します。
メルカリの資金力やノウハウをCtoC関連企業のサポートに活かし、既存サービスとの連携も実施しています。

メルカリファンドがこれまでに出資してきた企業の一例を紹介します。

BASE(ベース)

BASEは約20万店舗を抱えるネットショップ開設サービスで、メルカリと資本業務提携を行い、約4億円の出資を受けています。

flamingo(フラミンゴ)

flamingoは外国語を習いたい人と、教えたい外国人のマッチングを提供するアプリです。
少額出資の他、メルカリの関連サービス「メルカリアッテ」とアプリ連携を行っています。

このように、資金調達に留まらず出資を行うことで、自社が基盤となるプラットフォームをさらに拡大させる段階に来ています。

メルカリの資金調達の歴史

メルカリは、これまでに累計100億円を超える資金調達に成功しています。
調達した資金は、アプリ開発やCM放映などのPR活動、海外への事業拡大といった目的で使われてきました。
大型資金調達で話題になったいくつかのニュースと共に、メルカリの成長の軌跡を振り返っていきます。

2014年3月

3月にオフィスを移転後、伊藤忠テクノロジーベンチャーズやグローバル・ブレインから、第三者割当増資により約14億円を調達しています。
同時期にアメリカに子会社を設立し、アプリのリリースに向けた準備を開始しています。
この時点では、ダウンロード数は約150万、月間流通額は数億円に留まっています。

2014年10月

既存株主のGMOベンチャーパートナーズやグローバル・ブレインから、第三者割当増資により約23億円を調達しています。
10月は2回目のテレビCMの全国放映がスタートし、翌月には東京お台場でリアルフリーマーケットも開催されています。
この時期は出品点数10万件、流通額は月間数十億円に達しています。
調達した資金は、主に国内とアメリカにおけるプロモーションに使われたようです。

2016年3月

3月2日にシリーズD優先株式の発行により、約80億円を調達し、累計調達額は約120億円に達しました。
今回はグロービス・キャピタル・パートナーなどの既存株主に加え、日本政策投資銀行や三井物産などが新規に出資しています。
この時点でダウンロード数は2,000万、月間流通額は100億円を突破しています。
アメリカ市場でも徐々に利用者が伸びてきた時期で、日本初のユニコーン企業として注目され始めます。

2018年6月

東証マザーズに上場し、IPOによる大規模な増資で、約500億円を調達しています。
2018年には、全世界で1億以上のダウンロードを突破し、海外のシェア獲得に向けた事業展開を本格的にスタートしています。
また、ファンドの出資によるCtoCプラットフォームの拡充を目指しています。

このように、メルカリの資金調達の歴史を辿っていくと、一時の成功に安住しない挑戦的な姿勢が見て取れます。
創業から国内シェアトップに至る成長の軌跡や、海外展開時の資金調達戦略は、スタートアップやベンチャーにとって大いに参考になるでしょう。